園子がやせた日
園子と私は幼馴染だ。
私は園子を女と思って見ることはなく、園子も私に対して男を感じることはないようだ。私たちはどちらかと言うと同性の悪友というがピッタリくるような関係だ。
園子は幼い頃から身体が大きく、言って見ればデブであった。子供の時はそれでも身体の大きさに物を言わせて近所の子供たちのボス的な役割で注目される存在であったのだが、それが三十路を前にしたこの頃までその体型を維持しているとなると話は別だった。
決して顔つきは悪くなく、大きな二重まぶたの目と高い鼻は美人に分類されると私は思う。しかし、170センチで80キロという身体は男を引き付けるには、少々威風堂々とし過ぎていた。園子にもこれまでに何人か好きになった男性がいたのだが、悲しくもそれらの恋は実ることなく消え、その度に打ちひしがれた彼女の心を癒すために朝まで一緒に痛飲するのは私の役目であった。
そんな園子に最近ようやく恋人ができたらしい。トシ坊と彼女が呼ぶその恋人は園子に対して「大丈夫、君は太ってなんかいない。太ってなんかいないさ」と常に励ましてくれるということだ。
「へぇ、優しそうな、いい男じゃないか」と私は電話口で園子に言った。
「そうなの。だから友達の中で俊一に真っ先に紹介したくって」
幸せに包まれた親友の声は耳に心地よかった。私たちはその週の土曜日にファミレスで会うことになった。
約束の時間より早く着いた私に聞きなれた声が背後から呼びかける。
「俊一、紹介するわ」
振り返った私が見たのは120キロはあろうかという巨漢のトシ坊とその横で心なしかスマートなプロポーションをした園子であった。
園子、おめでとう!
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