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落ちた1

角材を並べたような体育館の壁に西田は寄りかかっている。おいらはその壁のほうへ向かって歩いてゆく1人の背後に身を隠し、西田に近づいた。体育の授業が始まる前の休み時間、辺りは体操着姿の生徒が無作為に徘徊しており、相手に気づかれずに接近するには好都合だった。

西田とおいらは同じ中学校の出身であった。中学時代の彼は品行方正で生徒会の役員を務めるなど、いわゆる教師受けする生徒だった。そんな彼も多くの優良だった児童が思春期を迎えるあたりで、本来持って生まれた能力の位置に収斂されるように、高校生のになる頃には根本的な問題児であったおいらと同じレベルに落ち着いたのだった。

そういう道を歩んだ子が往々にしてたどるのがいわゆる”高校デビュー”、つまり高校入学と同時に少し悪く振舞うようになるのである。それ以前まで、真面目なイメージでとらえていた者の態度が急に変わるのは調子が狂うものである。おいらは最近にわかに人をおちょくったような口をきくようになった西田がうっとおしくなり、ちょっと懲らしめてやろうと思ったのだ。

充分に接近したち判断したとき、おいらは前にいた生徒の右側から躍り出て、持っていた50センチ程度の紐を西田の首に巻きつけた。手はずは思ったとおりに運び、西田は突然何が起こったのか把握できていないのか朦朧とした表情でさかんに自分の首を締め付けている物体に手で触れようとした。

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