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金網製の軽いゴミ箱

ただただ好奇心からだった。空になった網のゴミ箱は小学生のおいらがカンタンに持ち上げられるほど軽かったし、こんなものが転がってきて当たってもそんなにダメージがあるようには思えなかった。

厚く乾いた午後、グランドへ降りる階段の一番下の部分に2人の女の子、伊東と兼子が座って何やら話していた。今は放課後の掃除の時間、いつも通りおいらは与えられた役目などそっちのけでぶらぶらしている、しかも退屈だった。

「このゴミ箱を階段の上から転がしてみたらどうなるだろうか?」暑さでボーっとした頭で考えた。そして気がついたときには、ゴミ箱を横倒しにして、階段の上から蹴り落としていたのだ。

ゴミ箱は最初ゆっくりと小刻みにバウンドしながら、加速がつくとそのバウンドが少し大きくなって転がっていった。落差5~6メートルほどの階段をその物体が転げ落ちるのにはほんのわずかな時があれば充分であっただろう。しかし、事の成り行きをすべて知っている加害者のおいらにとってその光景はスローモーションのようで、ゆっくり考える時間があったような気がする。

バウンドを次第に大きくしながら転がり落ちてゆくゴミ箱、その過程を見るにつけ急に「もしかしたら、これはしゃれにならないんじゃないだろうか?」という感覚に襲われた。

「あぶない!」おいらは叫んだ。

その瞬間、クラスの女子の中でもひときわ小さくやせた兼子の身体は物体との接触とともに一旦後ろにのけぞった後、もんどりうって前方に投げ出されたのだった。

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