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相手の視点

以下、米大リーグシアトルマリナーズのイチロー選手が日米のプロ野球キャリア通算で3000本安打を達成したときに日本の記者が大リーグ歴代通算記録を持つピートローズに対して行ったインタビュー。

--率直にうかがいますが、イチロー選手があなたの記録に追いつく可能性はありますか

「それは日本の記録を含めての話かい?まだ大リーグでは2000安打にも達していない。素晴らしい打者で、ヒットをたくさん打っていることは認めるが、大リーグ記録と単純に比較できるかは難しいところだ」

まず、この記者が「日米のプロ野球通算で」という前提なく、いきなり「あなたの記録に追いつく可能性はありますか」と訊いたことはかなり恥ずかしい。ピートローズとしては全く悪気なく、自分や他の20数人のプレーヤーが記録した3000本安打とイチローの日米通算の3000安打を同価値でないと考えているからだ。

日本人としてはかつて日本のプロ野球が野球界の最高水準のステージであったし、そこでの記録は尊重されるべき記録だ。そして、誰の目から見ても世界最高峰のプロ野球リーグはアメリカのメジャーリーグであるから、日本側から見れば日本のみでの記録と日米通算での記録を同列に並べてもおかしくはないと考えられている。しかし、アメリカ側から見たらどうだろうか?おそらく向こうは日本のプロ野球も韓国、台湾やベネズエラ、もしくはアメリカでも3A以下のプロ野球と同じように考えているだろう。実際に日本のプロ野球から球界を代表する一流選手がこぞって米大リーグを目指すのに、盛りを過ぎたスタープレイヤーなどを除いてはリアルタイムで活躍している向こうの超一流選手は決して日本に来ることはない。

つまり、ピートローズにしてみれば「2000本にも達していない選手が自分の記録に追いつく可能性」など問われてもどうにも答えようがないというのがホンネだろう。百歩譲って比較するとしたら、彼がプロに入って3年間を過ごしたマイナーリーグ時代での現存しているかどうかわからない成績も通算しなければならないわけで、別の意味で「そりゃ、不可能だ」ぐらいに考えているかもしれない。

相手の視点を考えないコミュニケーションは戒めたいものである。

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