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マグマの胎動

1995年に中国に来て以来この国、とくにおいらが大半を過ごしていた上海はこれまでの間、目覚しい発展を遂げ、おおかたの人は豊かになった。しかし、その発展も広い中国から見ればほんの一部の地域なのであろう。おそらく、8~9割の人々の暮らしはこの10年間ほとんど向上していないのではないか。上海や今オリンピックを開催してこの世の春を謳歌している北京などに居るとなかなか気づかないが、毎日の報道を細かく見ているとこれほどデモや暴動が多いものかと驚くばかりだ。

人は本来、暴力のなかに身をおくよりは平和に暮らすことを望む。少しぐらい生活が苦しくても、暗い気持ちで生きていたってつまらないのを知っているから、明るく生きることを好むはずだ。当局に目をつけられれば命の保障でさえおぼつかないこの国において、デモや暴動に走るというのはよほど耐え難い状況に置かれているからにほかならないはずだ。また人間は他人のとの格差や本来の位置から下降するとききに耐えがたい苦痛を感じる傾向にある。資本主義は富めるものをますます富ませ、貧しきものをおいてけぼりにする悪しき本能を備えているが、中国においてはその傾向がほぼ純化した状態で起こっている。むろん、中国は政治体制で都合のいいところややむを得ないところはいまだに社会主義体制だが、経済の実態については現在ほぼ資本主義の優等生とも言えるべき状態なのである。いわんや、この国は近いうちにおびただしい数の貧民の中にたまった不満のマグマの胎動に耐えられなくなるときが来るであろう。

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